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●シューズ メダリオンの世界……その3



こんにちは。
今回も引き続き、シューズのメダリオンに迫っていきたいと思います。
「その1」で見ましたが、ケンムールを代表選手として、アメリカ靴は圧倒的にバタフライタイプが多いんですね。
今日は、「なぜ、バタフライタイプがアメリカ靴に多いのか?」という謎に迫っていきたいと思います。


■1930IMG_2421

上記は、年代が確認できる最初のフローシャイムのバタフライタイプ。1930年カタログにある、The RALEIGH S-346。(解説文には特記すべきことはないです。)

■1928IMG_2425

■1928IMG_2424

1928年カタログ(上)にも、ブローグシューズはあるのですが、バタフライタイプではありません。1928カタログと1930カタログを見て思うこと。スペクテイターが多いんですよね。

ここで、もう一度ブローグシューズの歴史についておさらいしておきましょう。

元々、英国のカントリーシューズとして使用されていましたが、1868年にジョンロブが最初のスペクテイターシューズをクリケットシューズとしてデザインします。その後20世紀初頭までカジュアルシューズとして発展します。ちょっと今からは想像できないんですが、スペクテイターはスポーツ(観戦)シューズとして、ブローグシューズの1タイプとして人気を得ていました(下、1930~40年代のジョンロブのスペクテーター)。


■ジョンロブスペクテイター

さらに再び、ジョンロブは、1937年にキャップトゥにブローグを加えたハーフブローグを開発します。すでに流行していたカジュアルシューズを少し、ドレス調に改良したんですね(下)。

■ジョンロブハーフブローグ


以上からわかること。
・元々、カントリーシューズだったブローグシューズは、ジョンロブなどイギリス発信で1868年にスポーツシューズとして改良
・1920~30年に人気だったブローグやスペクテイターに、ジョンロブが改良を加えてセミブローグが開発される。

そうです。ブローグシューズは、イギリス発信でデザインが改良されているんですね。
ここで、話を戻しますが、アメリカ発信でブローグシューズといえば? そうです、いわゆる「アメリカンブローグ」と呼ばれる「ロングウィング」タイプです。我らがケンムールですね。


■viking1953

今、ワタシが確認できる、最初のロングウィングは、上のバイキングVikingで1953年の広告(バタフライタイプです)。バイキングは、Tomojinさんが研究されているのでそれに参考にさせていただきました。

■1941ado0730099213311764288


それでは、最古期のバイキングの広告は? 1941年の広告です。上の真ん中はまだ、ショートウィングですが、メダリオンはバタフライタイプです。


■ケンムールとバイキング1966

1966年の広告。1966年段階では、ケンムールがロングウィングになっています。

これは、ビン靴ブログの先輩方やS8Sのホリさんなどがふれていますが、「雨に強いハードなバイキングシリーズが元ネタとなって、1960年頃からロングウィングのケンムールとして量産され大流行していったのではないか」。ワタシもそう思います。

■⑨トゥ菱形IMG_1345


上は、ケンムールのバタフライタイプです(93602)。
最初の話に戻りますが、「なぜ、アメリカ靴にはバタフライタイプのメダリオンが多いのか?」 恐らく、大流行したロングウィングのケンムーアがネタ元になって、アメリカの各メーカーが普及させていったからではないか……と。


■アレン1963マクニールロングウィング2


上記は、確認できるアレンエドモンズの最初のロングウィング(1963年カタログより)。マクニールですね。これも、バタフライタイプ。


■bostonian_1962_2ロングウィング

そして上は、ボストニアンのロングウィング。VCleatさんの1962カタログからの引用です。(これだけ、同じだとバタフライタイプには、何か特許関係の事情があるのかな…と思ってしまいます)

すべてのロングウィングが、バタフライタイプのメダリオンではありません。でも、大流行したケンムールには、それだけのデザインの力があったのではないかなと。


最後に、数字をもとにブローグとメダリオンの傾向を調べてみましょう。
以下は、現在わかっているフローシャイムのカタログ毎にメダリオンのタイプを整理したものです(出典●「FLORSHEIM STOCK STYLES 」1930、Florsheim catalogの世界)。


カタログ表

なかなか分析するのは難しいのですが、おおまかにいって「1920~30年代にスペクテイターが多く、戦後だんだんバタフライタイプが増えていく」ということが言えると思います。イギリス発祥のスペクテーターから、アメリカンブローグのロングウィングに変わる。アメリカが独自のデザインを確立していくんですね。

また、1935年と38年カタログの巻頭に載っているのは、バタフライタイプ。ようするに、フラッグシップモデル(最上級)なんですね。1969年のインペリアルやロイヤルインペリアルの多くは、伝統のバタフライタイプが採用されていることからも、証明できると思います。(ちなみにロングウィングは、1969年にしか載っていません)

以上、前回の「伝統のブリティッシュブローグBritish brogueは何か?」にならって、「伝統のアメリカンブローグAmerican Brogueは何か?」について考えてみました。

たぶん、例外はあると思います(苦笑)。

話が飛びますが、多くのジーンズのデザインソースとされる「LEVI’S 501」がありますよね。様々なメーカーがいろんなデザインのジーンズを作っていますが、説明されなくても見ればジーンズってわかりますよね…。じゃあ「ジーンズをジーンズたらしめているものって何だろう?」と考えたとき、一番重要な要素って何だろう? 
もしかしたら、ワタシは金属リベットじゃないかな…と思っています。(もちろん、生地が基礎だってことは置いておいてです(笑))

バタフライタイプのメダリオンが付いてないと、「ロングウィングなんだけど、なんかおかしいな?」っていう気がするんですよね。だから、アメリカンブローグのケンムールには必ず、バタフライタイプが付いている。「ごついロングウィングには、可愛いバタフライが良く似合う」。
そんな、終わり方でいかがでしょうか………。





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コメント

カッタウェイ 2021/02/09 21:42  編集 URL

面白かったです!

メダリオンの連載、とても楽しませていただきました。

こうして一覧にまとめてくださると、時代の変遷が掴めて面白いです。大戦後、スペクテイターがほとんど滅んでしまった(ように見える)のも印象的です。

ブローグシューズの魅力を再発見できた連載でした。ありがとうございます。
しんのすけ 2021/02/10 07:55  編集 URL

コレスポンデントシューズが…

カッタウェイさん

お疲れ様です。おっしゃる通り、スペクテイターは既成靴からは、なくなっていきます。これは、服装の変化も関係しているかもしれません。戦後ダークグレースーツが、ビジネスマンの制服みたいになると、合わないですよね。
あとは、WWⅡで、サービスシューズが一般に普及して、皆さん黒のプレーンがスタンダードになるのもあるかもしれません。

戦前のカタログのように、スペクテイターに合わせてカラフルなスーツを着てみたいです。でも、ちょっと勇気要りますね(笑)。ではでは、失礼します。

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