こんにちは。家族に健康問題が勃発しておりまして、ばたばたしてます。久々の更新ですが、みなさんお元気でしょうか?
8月26日土曜日に浅草文化観光センターで、「クツミライのための靴族会議② ディスカッション編 (革)靴の新しい市場価値の創造・提案について考え、話し合う」が行われました。僕は、靴業界の人間ではないのですが、メールで連絡させていただき、参加してきました。
以前このサイトでは、2019年に「●3月15日「靴の記念日」トークライブ-----番外編」を掲載させていただき、大谷知子さん、飯野高広さんのトークを中心に業界の現状について報告したことがあります。
その時、大谷さんは、
「昨今の大きな流れとして、靴業界をふくむ皮革産業に求められている、サステナビリティ(環境への持続性)について」
語り、飯野さんは、
「靴業界の売り上げが厳しいとおっしゃるが、これは消費の在り方が変わっているから。若い人たちが、娯楽にお金を使ってないわけではない。靴磨きをして、画像をインスタグラムにアップする。これ、「モノ消費」から「コト消費」に変わっているんですね。大手さんももっと靴磨きに注目していい。」
と鋭いご意見。
では、2019年から4年経った今、靴業界はどこに進もうとしているのか……、簡単にまとめさせていただきました。出席者は、靴メーカーさん、皮革メーカーさん、シューフィッターさん、などなど。

●「NO SHOES NO LIFE(ノーシューズ・ノーライフ)」と書かれたポスター(撮り忘れて半分だけ。す、すみません)
司会;「どうする? 日本の靴」が本日のテーマです。「どうする?」としたのは、どうなるか、市場の変化がわからないから。
回答者①;これだけ情報があふれている時代なので、売り上げを伸ばすには情報発信し続けなければならない。ハンドソーンが良いとか、機械靴はどうとかいうくくりの話ではない。靴業界は、各メーカーが個人で動いていてまとまりが無く、方向性がわからなくなっている。歴史上もっともやばい時代なのではないか。
回答者②;業界の収益構造が100年前のものから脱していない。業界全体のパイを広げるのは難しいので、デジタル技術で改善するしかないのではないか。
回答者③;3D技術は使える可能性がある。ただ、3Dで計測したものをそのまま木型にしてもフィットしない。これは、足の関節がとても複雑であることに理由があるが、(この時代であっても)デジタルをそのまま活用できない原因は解明されていない。
回答者④;靴に悩みを抱えている人はとても多いが、シューフィッティングの情報が顧客に伝わっていない。つまり、革靴の良さが伝わっていないのです。
回答者⑤;日本のメーカーは、海外で資材である革の買い付けで負けてしまっている。
回答者⑥;革は50年の耐用年数があることが、引っ張り強度の測定でわかっている。革が道具として優れていることを強調すべき。

●展示されていた靴たち(japan_shoesさんのもの含む)
ここで僭越ながら、私も提言させていただいた。
しんのすけ;少し話がとびますが、今年はLevi’sが創業150年ということで、様々な商品を売り出しています。なぜLevi’sに訴求力があるかというと、大戦モデルといったアーカイブがひとつのシンボルとなって業界を盛り上げているから。靴業界も、歴史をふりかえってたとえば、オールデンのモディファイドラストのような、履き心地も特徴があり、見た目でも違いがわかるような商品作りを目指すべきではないか?
回答者⑦;オールデンのモディファイドラストは、私も好きで、実は木型職人といっしょに再現しようとしたことがあります。ただ、再現しようとするとラストの前部と後部でどうしても軸がぶれてしまってうまく商品化出来なかった経緯があります。
回答者⑧;木型についての考え方は、メーカーによって違う。個性をそれぞれ情報発信していくべき。
というような内容でした。SNSなどネットを活用して、消費者にアピールしていくことの重要性は共有されているものの、2023年現在で向かうべき靴業界の将来は描けていないんです。これは、靴産業だけでなく、私のいる出版業でも同じですね。商品開発の正解のようなものが失われていて、個別にヒット作はあるのですが、それは、作家さんの能力に依存しているんです。
売れているメーカーはもちろんありますが、それをそのまま真似してもうまく行かない。それは、情報が行き渡っているからで、まさに個の能力の時代なんですね……。話をまとめるとブーメランのように、「さてあなたならどうする?」と問いが、自分に返ってきましたが(^_^)、みなさん、どうお感じになったでしょうか?
また、このような機会があったらレポートさせていただきたいと思います。本日は、このあたりで失礼します。
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